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【訂正】防ぎようのないテロ 犯罪や事故が減っても社会の歪みは「行き場」を探し求める 京都アニメーション放火事件

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photo カズキヒロさん https://www.pakutaso.com/kazukihiro.html

5月にも最悪の無差別殺傷事件が起きてから

まだ2か月も経っていないのに

またしてもこれ以上にない悲惨なテロ事件が起きてしまいました。

犠牲者の方々のご冥福をお祈りいたします。

 

今回の事件についてもいろいろ考えましたが

必然的な要因も、京アニと犯人との関連性もまったくなく

(後の調査で犯人が京アニに投稿した小説が見つかりました)

したがって再発を防ぐ方法がまず考えられない

というのが最もショックな点です。

 

テロ事件といえば多くは海外で、飲食店や教会など

まず銃や爆弾が持ち込まれることのない「平和な日常」がターゲットに

されるので、これらも再発を防ぐことは極めて困難です。

 

日本は地道な取り組みによって犯罪や事故の件数は近年

減少しているそうですが

反面いつ自分がテロの被害者になってもおかしくない

という時代に入ろうとしているのです。

 

今回の事件の要因について何か対策ができなかったのか

経過に沿って見てみましょう。

 

犯人の人物像

これまでにコンビニ強盗や騒音トラブルなどを起こし

問題が少なくはありませんが

一生、刑務所から出られないようなレベルでもなく

また、これほどまでの狂暴犯に進展するとは

警察もまず想定できなかったでしょう。

 

犯行の動機

「小説を盗まれたから放火した」と自供していますが

小説を出版、投稿した経歴はありません。

(後の調査で犯人が京アニに投稿した小説が見つかりました)

また京アニの元従業員でもなく、取引関係もなく

「不当な扱いを受けた」などの関連性もまったくありません。

犯人の勝手な思い込み、究極の被害妄想としか言えません。

個人の脳内で増殖する感情を制止する方法はありません。

 

用意周到で高い計画性

犯人はガソリン携行缶、バケツ、台車、凶器まで準備していました。

ガソリンを携行缶で運搬することは以前からも危険性が指摘されて

いますが、今まで以上の規制強化は難しいでしょう。

ほんの一例ですが小型の農機具や林業などにも不可欠だからです。

仮に禁止したとしても、実はほとんど意味がないのです。

車やバイクのタンクにホースを差し込んでポンプで吸い出せば

ガソリンは誰でも簡単に入手できます。

 

セキュリティドア

今やITやハイテク企業の多くがIDカードや顔認証で

不審者の侵入を防いでいますが、はたして今後、中小企業や

学校、保育園まで標準化できるでしょうか。

コスト的な問題もあるのでちょっと非現実的ですよね。

もっとも、駅や空港、飲食店など不特定多数が出入りする場所が

狙われたら何の効力もありませんが。

 

中小ビルの消防基準

大型のビルでは階段室が防火扉で遮断できる構造になっていますが

中小ビルでは義務付けられていません。

今回も火元は1階で、らせん階段がまさに煙突のように機能して

瞬く間に3階まで延焼を早めたようですが

有事の際には階段は重要な避難経路でもあるので

必ずしも遮断がベストとは言えません。

表裏一体なのです。

 

屋上やベランダなどの避難場所

階段で屋上へ避難できる構造になっていましたが今回は延焼が早く

多くの方がその途中で一酸化炭素中毒などで亡くなっています。

ベランダから飛び降りて難を逃れた方もいますが

大半の方が逃げ遅れました。

これがガソリンや爆発物の恐ろしさです。

火災の原因が漏電やタバコの不始末だったら

もう少し避難できる時間があったと思います。

 

以上のどの要因について考えても効果的な対策がありません。

今回の事件は本当に絶望させられました。

被害に遭われた方、ご家族、関係者、そして多くのファンの

やり場のない怒りがどれほどか、想像しきれません。

 

これまで企業が狙われた事件として多いのは

例えば取引上のトラブルや、飽和した業界内での仕事の奪い合い、

潰し合いの果てに事件にまで発展したケースですが

今回の京都アニメーションはそのようなたぐいのトラブルからは

かけ離れた業界です。

 

むしろ多くの著名な作品を世に出し、世界中に夢を与えてきた企業です。

人の命に優劣はないとはいえ、多くの優秀なクリエーターを失った損失も

はかり知れません。

献花に来た人も「生きる道しるべと勇気を与えてくれた」と言っていました。

 

このような被害に遭わなければならない要因は一つもなく

かといって、あまりにもこの事件が特殊で突発的すぎて

有効な再発防止策もありません。

「日本もそういう時代になってしまった」と

ただただ悲しく

このような記事しか書けないことが痛くむなしく

ただ絶望しかありません。