出来事と話題

日々のニュース、出来事からいろいろと考えてみましょう

技術でも経済でも日本のガラパゴス化が急加速 ECBが3会合連続のユーロ利上げ

photo「ガラパゴスウミイグアナ」旅先の写真家さん https://www.photo-ac.com/profile/1694262

つい先日、ドル円相場は一時152円/ドルにも迫る急上昇を見せ、

毎日のように円安、物価高のニュースで溢れ、私たち庶民の生活にも

多大な負担を強いられる状況が続いています。

この主な要因は、ウクライナ・ロシア情勢による資源、物資不足も深刻ですが

FRBによる相次ぐドルの利上げが、もはや異常なレベルに達しているのです。

 

さらにその要因は、新型コロナによる経済対策として大規模な金融緩和、

資金投入した副作用として急激なインフレを引き起こしてしまったのです。

本来これらの経済対策は、企業や商店の連鎖倒産や雇用の減少、賃金未払い

などを防ぎ、国民の生活の安定を図るセイフティネットとなるはずですが、

実際には日本でもアメリカでも新型コロナの影響で大量の生活破綻者が

生じる結果となりました。

 

一方で比較的余裕のあった中間層や富裕層が、この経済対策を上手く利用して

ビジネスや投資でより利益を伸ばし、思わぬ臨時ボーナスを得ました。

正にこれこそが「資本主義経済の限界説」を裏付ける典型的パターンで、

貧富の差が縮まることは無く、昨今のような事あるごとにますます差が

拡大し続けているのが現状です。

 

世界の急速なグローバル化によって、人も物資も資金も、自由に瞬時に

移動できるようになり、ビジネスでも研究開発でも私たちの消費生活でも

多大な恩恵を授かってはいるのですが、その代償として

感染病や戦争などに起因するネガティブな混乱も、瞬時に世界を覆い尽くす

時代になってしまったのです。

 

現在の資本主義経済の最大の問題は、世界が際限なく利益を追求し続ける反面、

混乱時にそれを抑制する「安定化装置」と「制動装置」が軽視され、

ほとんど機能していない点です。

私たちはブレーキの無い暴走特急に乗っているのと同じで、

これまでも世界恐慌リーマンショックなど大事故を繰り返している事は

歴史上でも明白です。

 

さて表題の件に話を戻しますが、昨今の異常なドル高に追随するように、

ECBもユーロの大幅利上げを決定しました。

これはドルに対するユーロの価値が「1」以下に下がってしまっては

ヨーロッパの経済にも国際的な信用にも悪影響が生じる、言わば

「台所事情」でもあるのですが、ここまでのドルに対する連動性を表して

いることは異例とも言えます。

 

ここからは私の個人的見解になりますが、ここまで急速に世界が通貨高に

走っているのは、ロシアに対する間接的な経済制裁に思えてなりません。

相対的にロシアのルーブルを弱体化させることで、国外からの物資の輸入が

抑制され、逆にロシアからの物資は輸入しないよう、これは既に国際社会が

連携して制裁がある程度の効果を上げています。

アメリカの思惑通りロシアは孤立無縁となり、いずれは自滅するという

シナリオです。

 

世界のこの動向を知ってか知らずか1ミリも付いて行けずに、

ロシアと同じ破滅への運命を辿っているのが私たちが暮らす日本です。

日本が足並みを揃えて「利上げ」を勇断できない限り、

まだまだ円高水準には戻りません。

日本が得意な小手先の為替介入をしたところで焼け石に水というヤツです。

 

もちろん利上げは住宅ローンの支払い増で国民に負担を強いることになりますが

増えた利息収入を財源として支援金として還元すれば簡単な話なのです。

ではなぜ日本がかたくなまでに利上げができないのか?

目先の心配事としては、これ以上、政権の支持率を下げたくないからですが、

それよりはるかに重大な問題は1千兆円を超える莫大な赤字国債です。

 

日本の財政は長期に渡る円高、デフレによって雪だるま式に膨らみ続ける

借金に苦しんできました。

今回はけして歓迎できないネガティブ要因による円安、インフレなのですが

莫大な借金に少しでも歯止めをかけるためにはワラにもすがるしかないのです。

ウクライナ情勢はいぜん深刻ですが、他人の心配をしている余裕なんて

まったく無くなってしまったのが日本の実態なのです。

 

岸田内閣も、主要な閣僚の辞任など早くもほころびが見え始めました。

核兵器廃絶とか人の話を聞くとか耳触りのいい言葉が並びますが、

そもそも何がやりたくて総理大臣になったのか、ビジョンが全く見えません。

前任の菅政権も短命に終わりましたが、携帯料金の値下げや不妊治療の

保険適用など誰の目にも見える形で一定の成果を出してくれました。

 

統一教会が仮に宗教法人資格を取り消されても、霊感商法や高額な献金

政治家とのゆ着が厳しく規制されても、日本が急速に復調する訳ではありません。

日本全体の問題の大きさに比べればごく一部の問題に過ぎないからです。

夢も希望も持てなくなった日本から1ミリも前進できていないのが実情です。

 

最近は富裕層だけではなく海外へ移住する若者も増えているようです。

美容師見習いで月給14万円だった女性が、渡米して間もなくスタイリストに

昇格して月収が80万円になったそうです。

生活費も約2倍になったそうですが、それでも生計面で悩む必要もないでしょう。

何らかの技術かノウハウと、多少のコミュニケーション力があれば

もはや日本に執着している事が最大のリスクとなりつつあります。

 

逆にこれまで日本に出稼ぎに来ていた外国人は稼げなくなりました。

長引く日本の少子化、さらにこれから日本の運命を背負って頂くはずの若者の

海外流出、さらに外国人労働者の減少とまさにトリプルパンチなのです。

世界中の主要な投資家の間では「成長が見込めない日本にだけは投資するな」

という合言葉が一般常識になっています。

それを知らないのは狭い井戸の中の世界しか見ていない私たち日本人だけです。

 

お読み頂いている皆さん、これらがどれほど深刻な末期症状で、

どれほど立て直しが困難な状況かご理解頂けるでしょうか?

人の話を聞く以前に、間もなく国際社会から取り残されつつある

ガラパゴス列島=日本」の壊滅的な状況を、まず客観的な目線で

見つめ直すことが第一歩ではないでしょうか。

 

お読み頂き有難うございます。

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