出来事と話題

日々のニュース、出来事からいろいろと考えてみましょう

一見安全そうな観光船も冷水上では絶叫アトラクションと変わらない命がけの遊び 知床観光船事故

photo 月光に照らされる湖 https://pictkan.com/

突然、冷水に投げ出されて意識が薄れていく時、どんなに無念だったでしょう。

もしかしたら人生を振り返る時間も余裕も無かったかも知れません。

お亡くなりになられた方のご冥福を心よりお祈りいたします。

また、ご親族の心中を思うと言葉も見つかりません。

心よりお見舞い申し上げます。

 

事故の原因が運航会社「知床遊覧船」のずさん過ぎる安全管理にあったことは

言うまでもありませんが、お読み頂いている皆様にどうかお願いです。

このような理不尽極まりない事故がどうすれば二度と起きなくなるか、

真剣に、リアルに考えて頂きたいのです、そのためのブログです。

桂田社長がどんなに重く処罰されても、皆さんがどんなにバッシングしても、

次に起きる事故は、どこにリスクが潜んでいるか判らないのです。

 

ちなみに私は高所恐怖症もあって絶叫アトラクションには乗りません。

バンジージャンプもクライミングもパラグライダーもダイビングも

スカイダイビングも一生やりたくありません。

どれも稀にですが死亡事故が起きており、ほんのささいなトラブルでも

命をリスクにさらす遊びを選ぶくらいなら、他にも楽しい遊びは

いくらでもあるからです。

 

ですが安全そうに見える観光船や遊覧船も水温しだいでは

「命がけの遊び」となることを今回の事故で思い知らされたのです。

当然ですが同じ業界にとっては乗客が減って大打撃となるでしょう。

ですのでなおさら同業他社が声を大にして、不備、欠陥だらけの

KAZUⅠの出航を何としても止めて欲しかった。

今そう言ったところで起きてしまっては遅いのです。

 

これから暖かくなると川辺や海でレジャーが盛んになる時期ですが

ここでも毎年のように事故で亡くなる方がいます。

もし私が酒に酔った状態で水に入ろうとしていたら、

隣のあなたが「危ない、止めろ」と言って下さい。

大の大人が他人に注意されるのは恥ずかしいことです。

逆切れする人もいるかも知れません。

でもそのたった一言で一人の命を救ってもらえるのです。

 

一年ほど前の事ですが、私のすぐ前を走っていたバイクの後ろタイヤが

白っぽく見えたので「何だろう??」と目が留まりました。

信号で止まったので良く見たらタイヤが限界以上に擦り減って

下地の布が丸出し、バースト寸前だったのです。

走行中にバーストしたら、スローパンクチャーとは違うので一瞬で

転倒事故になることをご本人は知らないのです!

さらに後続車の私がひいてしまうかも知れません。

 

考える間もなく私は「タイヤ替えないと危ないよ、事故っちゃうよ」と

声をかけたら「そうなんですよね、大丈夫です!」と明るく

走り去ってしまいました。

その後「彼女はどこかで事故っているんじゃないか、大怪我でもしていたら

彼女の人生はどう変わってしまうのか、もう少し説得するべきじゃ

なかったのか」と何度も後悔する結果になりました。

もし私がしつこくて逆切れされても、ほんのちっぽけな事じゃないですか。

 

話を戻しますが、これまでも人為的な要因で大規模な被害となった事故は

数え切れません。

 1912年 客船タイタニック号沈没 死者1,490名以上 無謀な高速運転 危機管理欠落

 1982年 ホテルニュージャパン火災 死者33名 防火管理の欠落

 1985年 日本航空123便墜落 死者520名 機体の修理不良 整備不良

 1999年 東海村JCO臨界事故 死者2名被爆者668名 極度に簡略化された作業

 2001年 明石花火大会歩道橋事故 死者11名 警察、警備会社の誘導不良

 2001年 歌舞伎町ビル火災 死者44名 報知機機能せず 避難経路不整備

 2005年 JR福知山線脱線事故 死者107名 劣悪な労働環境 速度超過

 2011年 福島第一原発事故 INES事象レベル:7 非常用電源など危機管理欠落

 2016年 軽井沢スキーバス転落事故 死者15名 運転手の健康管理の欠落

 2021年 熱海市伊豆山土石流災害 死者26名 増大し続けた盛土や廃棄物

 

どの事故を見ても誰かがどこかで「これは危ない!大変な事が起きる」と

声を上げてくれたら違う結果になっていたかも知れません。

発生まで誰一人、気が付かなかったはずはありません。

私たちの国、日本は民主主義で、発言の自由があるはずです。

ロシアのような危険な思想を持つ指導者に洗脳される国ではないはずです。

 

今後はこんな時こそSNSをフル活用するべきではないでしょうか?

事故が起きる前に、一人でも多くの方が危険性を指摘し、声を上げて

頂ければ、いつかは違う結果に結び付く日が来ると思うのです。

 

知床遊覧船の管理当局にあたる国土交通省北海道運輸局のチェック体制も

運航事業者が作成する安全管理規定も何の役にも立ちませんでした。

抜け穴だらけのザルだったと言わざるを得ません。

起きた結果が余りにも重大で、永遠に許されるべきではありません。

 

運営上の法規制も至急、抜本的な再整備が行われると思いますが、

少なくとも出航前には無線機の通話に問題がないことをテストし

必須条件とすることです。

また同程度の観光船が3隻以上、出航できることも必須条件とするのです。

1隻にトラブルが生じても他の2隻が救助に向かうことができます。

1隻が岸に近づいている時は岩礁接触するリスクがあるので

他の2隻は離れて待機、重複事故を防ぎます。

 

ハード面(船体)での安全装備もまだまだ改善の余地はあると思います。

現状、遠洋に出ない小型船舶には救命ボートの搭載義務はありませんが、

今回の事故でその重要性を再認識することになりました。

空旅客機から緊急脱出する際はガス圧式のスロープを数秒で展開できます。

これと同じ仕組みの「救命いかだ」ならコンパクトに収納、搭載が可能です。

また救助されるまでの体温低下を防ぐアルミシート、夜間や悪天候でも

救助隊に発見されやすいよう発信機、点滅発光器も必須です。

 

また航空機はフライトレコーダー、ボイスレコーダーが事故の原因究明に

欠かせない装備ですし、自動車にもドライブレコーダーが普及していますので

小型船舶に搭載できない理由はありません。

もう技術がどうのコストがどうのと言い訳できる時代ではないのです。

 

私たちの国、日本はかつて戦争という最大の過ちを犯しましたが

そこから学び、幸いにも「けして戦争を起こしてはいけない」という

国民意識は深く根付いています。

近年、技術でも経済でもどんどんと諸外国に追い付き追い越されつつ

ありますが、「同じ過ちをけして繰り返さない」これこそが私たち

日本人が誇る最大のアイデンティティではないでしょうか?

 

群集心理や同調圧力に飲み込まれずに「こんな間違いを続けていては

いけない」と一人でも多くの方が声を上げられる勇気のたね火を、

軽薄なバッシングなどでけして吹き消さないでください。

 

お読み頂き有難うございます。

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