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過密都市が生む防災の限界とストレスの高速増殖炉 大阪ビル放火事件

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photo Google マップ

令和に入りここ3年で、凶悪、悲惨きわまりない事件が、

一定の周期で繰り返されるようになりました。

お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り致します。

 

以前、アメリカの自由主義が銃犯罪を蔓延させているという趣旨の記事を

書きましたが、日本でもガソリンやライター用オイル、キャンプ用燃料を

悪用すれば、銃と同等かそれ以上の殺傷能力を持った「凶器」である事を、

私たちに十二分に知らしめる事件となってしまいました。

「日本は銃規制が厳くてテロも少ないから安全だ」という神話は

完全に崩壊しました。

 

ガソリンを携行缶で購入する際に身分証明書の提示と使用目的を

明確にする法改正が行われましたが、まったく意味のない机上の空論で

あったことがこれで証明されました。

容疑者は10リットルものガソリンを何の苦もなく手に入れたのです。

ちなみに、各種の燃料は通販でも誰でも簡単に購入できます。

ごく一部の異常者のために、これらの販売まで全面的に規制できるかは

現実的には全く考えられません。

 

次に防災面での対策について考えてみましょう。

火災現場となったビルは、正に近年、問題視されている避難経路が一つ、

スプリンクラーもない小規模ないわゆる「ペンシルビル」です。

これらがすぐに最新の防災基準を満たす中規模以上のビルに

建替えられる訳もありません。

 

スプリンクラーの追加設置は不可能ではないかも知れませんが、恐らく

テナント賃料の数か月分にもなる費用を一体だれが負担するのでしょう。

ビル側が負担するにしても、借り手がなるべく安いテナントを

優先して選ぶのが普通ですので普及するとは考えられません。

 

ここが日本の難しい所で、反対意見が出れば強制はできません。

「現金支給かクーポンか」の問題と同じ「もう好きなようにやって」

と最後は現場任せになって終わりです。

 

非常階段の増設はどうでしょう。

小規模なテナントビルは東京、大阪のような極度の過密都市に

星の数ほど存在し、ビルの間に人1人が入れる隙間さえありません。

何十年先になるか分かりませんが、未来の都市は隣接するビルが

ブリッジや空中デッキで連結した構造に変わっているでしょう。

 

結局のところ現実的には消火器の増設くらいしかありません。

小型の消火器をキッチン、トイレのような小スペースにも、

大きなスペースには複数設置するのです。

炎にボールを投げ込むだけの誰にでも使えるタイプもあります。

 

そして私が最も注視しているのが容疑者の「動機」ですが、

意識不明の重体となっており供述は得られていません。

下の記事では容疑者の勤務先などの様子が伺えます。

 

要点をまとめますと、

・腕の良い板金職人、後輩からも信頼される存在だった

・人から意見を言われると反発するなどキレやすいタイプ

・離婚してから仕事を休みがちになり離職

・長男(25)と口論になった末、殺人未遂で逮捕される

・普段は「いい人」酒を飲むと「うまくいかないことばかり」と荒れる

心療内科に通院したが改善せず

 

以前から異常な衝動、言動、攻撃性があったことが読み取れますが、

たった一つの失敗がきっかけで、こんな自暴自棄の精神状態に陥る

可能性は誰にでもあります。

自分は大丈夫でも、また似たような事件やトラブルに巻き込まれる

可能性も十分あり、現代のストレス社会に生きる私たちにとって

けして人事ではありません。

365日、緊張感の中でけして気を緩めることなく過ごさなければ

ならない時代になってしまったのです。

 

特に大阪市内は極度の過密によるストレス環境と言えます。

上の写真を見て下さい、周辺には山林も多いですが、

比較的平坦地のある兵庫県滋賀県などと比べても限られたスペース

いかに人口が密集しているかが一目でお解り頂けるでしょう。

感染拡大、満員電車、交通渋滞、事故、住居費の高騰、対人トラブル、

ストレスが絶えることがありません。

 

大阪人にはお笑いと、ご近所さんも見知らぬ人も皆、友だち的な独特の

文化があり、これが過密ストレスの緩和にも役立っているのですが、

必ずしも全ての人に当てはまる訳ではありません。

人とは一定の距離を保ちたいタイプの人は必ず一定の割合で存在します。

生まれ育った環境が皆さんにとって必ずしもベスト環境ではありません。

 

住み慣れた土地を離れることは誰しも不安が伴うことですが、

人間は本来、新しい環境に適応しようとする社会的本能を生まれ持っていて

ストレス環境に耐え続けるよりも、持てる能力を発揮している時が

健全かつ充実した状態であると言えます。

私たちが旅行に行きたくなるのも同じかも知れません。

私も移り住んだ現在の環境がもっとも合っていると思えるようになりました。

 

さらに付け加えますと、皆さんが今、働いている環境が必ずしも

あなたのパフォーマンスを最大に発揮できる環境とは限りません。

また今、交友している友人、知人もあなたのパフォーマンスや人間性

必ずしも向上してくれる存在とは限りません。

「どんな問題でも努力すれば克服できる」と意気込んでも

かえって悪い結果に行きついて、限りある時間やエネルギーを

消費してしまうことも多いのが現実社会です。

 

「日々ストレスが増えている、将来への希望が持てない」と感じる方は、

その気になれば住居だけではなく職場環境や時には人間関係も変える事も

出来るという事を、少し考えてみるだけでもお勧めいたします。

 

お読み頂き有難うございます。

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